pic story 小さな命の物語 -アゲハ蝶ー

95.私の中のモノをお話にして外に出す

 

*🐛芋虫の写真が登場します。苦手な方はご注意を。私も苦手です・・・

 

 

《私のやりたい100のこと》
95.私の中のモノをお話にして外に出す 


pic story  
では

写真 pic として残っている思い出 を 物語 story にして 保管しようと考えました。

pic story 小さな命の物語 -アゲハ蝶ー

 

・・・・・

 

2013年10月11日のこと

料理の飾りつけに使おうと、ベランダに置いてある山椒の小さな植木鉢を見ると、

「あれ?先日まであった葉っぱが全然なくなってる!」

 

枯れた様子もありません。

どういうこと???

 

 

良くみると、何かがぶら下がっていました。

黒い小さな何か。

 

 

何かの芋虫・・・

これ、知ってます。

山椒の葉を食べる芋虫といえば、アゲハ蝶の幼虫

でも、いまは10月。それも中旬。

こんな時にアゲハ蝶って、幼虫になるんだっけ?

 

 

🐛虫は苦手です・・・ とくに、足が無い、もしくはたくさんある虫。

 

でも、全然動かないんです。

死んでしまったのかな?

 

と、思っていた翌日。

机の上に乗せていた植木鉢の上で、何かが動いています。

 

 

いや”------!

これは、やっぱりアゲハ蝶の幼虫!

生きていたのね。良かったね。

うおーーーーーー! 気持ち悪い( ;∀;)

 

でも、そんなことを言っている場合ではありません。

 

 

息子と一緒に家を飛び出して、近所に山椒の木が無いか、探しに出ました!

山椒が無かったら、ミカンの木みたいのでもいいのかな?

そもそも、ミカンの木って、分からないなー。

山椒の木なんて、見かけないしな。

 

あちこち回ってみましたが、どうにも見つけられません。

自宅に戻り、今度はガーデニング屋さんへ電話をしました。

 

「山椒の苗木って、扱っていますか?」

「申し訳ありませんが、いまは季節ではなくて・・・〇月ごろでしたら、毎年入荷しますけど」

 

いやいや、いまです。いま。

あと葉っぱが2枚だけだから。

 

仕方がないので、この山椒の苗木をくれた実家へ電話をすると・・・

「ああ、山椒の木だったらあるよ。好きなだけもっていくと良いよ」

やった!お父さん、ありがとう!

 

すぐさま車に乗り込み、このアゲハ蝶の幼虫が付いたままの植木鉢を、倒れないように助手席に座った息子の両足で挟んで出発です。

 

実家は、高速走路を車で飛ばして約1時間半・・・⏲

 

 

いやー、葉っぱがもう1枚・・・

あれ! もう全部食べちゃってる!

食べるモノが無くなって葉っぱをさがしているのか、幼虫は植木鉢のフチをグルグル歩き回っています!

早くしなくちゃ!

 

アゲハ蝶の幼虫が、植木鉢のフチを3周ほど回ったところで、実家に着きました。

 

 

父には詳しい話はしていなかったのですが、枝を数本切ってくれるのかと思っていたら、庭から掘り起こして、植木鉢に生けてくれていました!

「ほら、持って帰りな」

やーーー! 本当にありがとう。そして、すばらしい!!!

 

父に事の成り行きを話して、アゲハ蝶の幼虫を見せると、そのためだけに車を飛ばしてやってきた私たちが面白かったのか、大笑いでした。

「まあ、この幼虫は命拾いしたな。これだけあれば、相当食べれるだろう?」

 

 

幼虫も一緒に連れてきて良かったです。

もう、ムシャムシャ・モリモリです。

 

 

自宅に戻って来ても、ムシャムシャ・モリモリ。

でも葉っぱは全然なくなりません。 良かったね。

 

この幼虫を見つけてから10日目のこと。

気が付いたらこんなになっていました。

 

 

サナギになるんだね。

 

 

翌日には、糸でしっかりと体をつないで、キレイな体の柄も、すっかり見えなくなっていました。

 

 

幼虫は、じぶんが蝶になる、って分かっているのかしら?

 

 

葉っぱをはいずり回って「気持ち悪い」と言われる芋虫だったじぶんが、空を自由に飛んで「わあ、キレイ!」と追いかけられる蝶になると、知っているのかしら?

 

 

こうして、小さな棺桶のようなサナギの中で、死んでしまうのではないか?と思わないのかな?

 

 

幼虫を見つけてから23日目。

サナギの色が黒っぽくなってきました。

時々、ビョン・ビョンと、サナギの中で体の向きを変えているのか、動くことがあります。

大丈夫。生きてる。

 

この翌日の朝早く、サナギが空っぽになっていました。

蝶になったはずの彼女の姿がありません。

 

 

いやーーーー!

生まれたばかりの美しいあなたが、こんな埃っぽくて汚い隅っこなんかにいないで!

こっちへ来な。

 

と、言っても、何もないな・・・

 

花屋が空く時間を待って、花の蜜・・・とまではいかなくても、なんだか分からないけど、とにかく花を買って来なくちゃ。

 

 

今日は11月4日。

お花屋さんには、思ったような花はもう売っていませんでした。

 

 

キレイな羽の色だね。緑いろだったのが、こんな美しい色になるって知っていた?

 

 

さて、

この命、どうしよう。

 

先日からのあいにくのお天気で、雨こそ降る予定はないけど、風もあるし、何よりも寒い。

花なんか、自然に生えているものなんかあるのかな?

 

外に出してしまったら、きっと寒さですぐに死んでしまうでしょう。

でも、部屋の中でも死んでしまうはず。

 

私だったらどうしたい?

私がこの蝶だったら、どうなりたいの?

 

私が蝶だったら、

蝶でありたいと思うはず。

 

せっかく蝶として生まれたんだから、ヒラヒラと自由に飛んでみたい。

小さな部屋の中でなくて、たとえ風で飛ばされたとしても、その風さえも感じたいと思うはず。

そうだよね?

 

 

蝶のためにいくつかかった花の鉢ごと、そーーーっとベランダに出しました。

 

 

やっぱり寒いね。 でも、飛んでごらん?

私には無いけど、キレイな羽があるでしょ?

 

 

息子が学校から帰って来ました。

「ママ、アゲハはどうした?」

「外に出したよ。自由に飛んで行きたいでしょ?」

「そうだね。そのほうがいいね」

 

 

あれから7年たったいま、ちょうど同じ時期にこの写真が出てきました。

この蝶の話は、私は忘れられない出来事でした。

息子も良く覚えています。

 

 

じつは、アゲハの黒い幼虫ははじめ2匹いたんです。

気が付いた翌日には、あの1匹だけになっていました。

鳥に食べられてしまったのかな?

我が家はマンションの20階なので、そう簡単に小さな鳥は飛んで来ないんですけどね。

 

暑かった夏から、急に季節が変わって肌寒くなると、この蝶のことを思い出します。

 

 

最後までお読みいただきまして
ありがとうございました
👋 sachi 👋